目次
はじめに
コーヒーが好きな日本人は多いと思います。
コーヒー好きが高じて「もっとコーヒーについて色々な知識を学びたい」「おいしく淹れる技術を習得したい」「コーヒーの種類や味の違いが分かるようになりたい」と思う方は多いと思います。
そうしたコーヒーに関する知識や技術を学んでいるうちに、コーヒーに関する「資格」に挑戦したいと思う方も多くいるのではないでしょうか。私もコーヒーにはまり込むうちに「何か資格を取りたい」と思うようになり、過去に色々と検討した経験があります。
今回、コーヒーを「趣味で楽しんでいる方」を対象に、コーヒーの知識や技術をより深めるための資格として、どれが良いのか、その選び方のポイントとおすすめの資格を紹介します。比較的「取得が容易」で、また、それなりに「役立つ」コーヒーの資格を念頭に紹介していきたいと思います。
日本で取得可能なコーヒーの資格一覧
日本で取得できるコーヒーの資格を全部で22紹介します。ほとんど全てを網羅していると思います(2021年9月時点の情報)。
資格 | 認定団体 | 取得方法 | 合格率 | 費用 | 難易度 | おすすめ |
コーヒー鑑定士 | 農林水産省認可法人 全日本コーヒー商工組合連合会 | 3講習(各1日×3) 3試験(各1日×3) | 〜5% | 164,000円 | ★★★★★ | |
コーヒインストラクター1級 | 農林水産省認可法人 全日本コーヒー商工組合連合会 | 講習(2日間) 試験 | 30% | 52,000円 | ★★★ | 〇 |
コーヒインストラクター2級 | 農林水産省認可法人 全日本コーヒー商工組合連合会 | 講習(2日間) 試験 | 90% | 32,000円 | ★★ | ◎ |
コーヒインストラクター3級 | 農林水産省認可法人 全日本コーヒー商工組合連合会 | 講習(1日) | 100% | 1,500円〜 | ★ | △ |
Qグレーダー(アラビカ) | (一社)日本スペシャリティコーヒー協会 | 研修・試験(7日間) | 10%? | 250,000円 | ★★★★★ | |
アドバンスドコーヒーマイスター | (一社)日本スペシャリティコーヒー協会 | 3講習(各1日×3) 1実技(1日) 4試験(講座,実技) | 不明 | 68,600円 | ★★★ | 〇 |
コーヒーマイスター | (一社)日本スペシャリティコーヒー協会 | 教材学習(標準3ヵ月) 実技講習(1日) 試験 | 80% | 39,000円 | ★★ | ◎ |
JBAマエストロ | (一社)日本バリスタ協会 | JBAから授与 | ー | ー | ー | ー |
JBAインストラクター | (一社)日本バリスタ協会 | 講習(4日間) 試験 | 非公開 | 264,000円 | ★★★★ | |
JBAバリスタライセンス・レベル3 | (一社)日本バリスタ協会 | 講習(2日間) 試験 | 非公開 | 110,000円 | ★★★★ | |
JBAバリスタライセンス・レベル2 | (一社)日本バリスタ協会 | 講習(2日間) 試験 | 非公開 | 93,500円 | ★★★ | |
JBAバリスタライセンス・レベル1 | (一社)人日本バリスタ協会 | 講習(2日間) 試験 | 非公開 | 73,700円 | ★★ | 〇 |
コーヒープロフェッショナル | (一社)日本技能開発協会 | 試験(自宅) | 不明 | 11,000円 | ★ | △ |
コーヒースペシャリスト | (一社)日本能力教育促進協会 | 教材学習(標準1ヵ月) 試験(自宅) | 不明 | 38,500円 | ★ | |
カーサバリスタ | (一)日本能力開発推進協会 | 教材学習(標準4ヵ月) 試験(自宅) | 不明 | 93,280円 | ★★ | |
コーヒーソムリエ | 日本安全食料料理協会 | 試験(自宅) | 不明 | 10,000円 | ★ | △ |
カフェオーナー経営士 | 日本安全食料料理協会 | 試験(自宅) | 不明 | 10,000円 | ★★ | △ |
ドリップマスター | UCCコーヒアカデミー(監修) | 教材学習(標準4ヵ月) | 不明 | 69,000円 | ★★ | |
コーヒーコーディネーター | (公社)日本通信教育振興協会 | 教材学習(標準6ヵ月) | 不明 | 70,400円 | ★★ | |
カフェプランナー1級〜3級 | 日本カフェプランナー協会 | 講習(2日間) 試験(筆記,実技,各1日) | 不明 | 27,000円 | ★★ | |
カフェプランナー4級 | 日本カフェプランナー協会 | 講習(1日) 試験(筆記,実技,各1日) | 不明 | 21,500円 | ★★ | |
CSPコーヒースキルズプログラム | バリスタギルド・オブ・ジャパン | 講習(1〜3日間)/単位 試験(筆記,実技,各1日) 単位ポイント合計100以上 | 未定 | ★★★ |
コーヒーの資格を選ぶ際のポイント
今回は「趣味の延長として、もっとコーヒーの事を知りたい」ことを目的としています。その上で選ぶポイントは次の通りです。
認定団体
ある程度権威のある団体の認定資格が良いと思います。その場合、次の3つの団体が該当すると思います。
- 農林水産省認可法人 全日本コーヒー商工組合連合会
- 一般社団法人 日本スペシャリティコーヒー協会
- 一般社団法人 日本バリスタ協会
日本安全食料料理協会も「食品」「料理」に関する資格認定においては、それなりに権威のある団体だと思います。しかし、「コーヒー」という点では、やはりコーヒーを専門とする組織団体が認定する資格の方が良いように思います。
取得方法
資格によって、取得のための学習や認定方法が「講習」「試験」「自宅学習」などの組み合わせで異なります。
「試験」がある資格は、当然ながら一定基準を満たす点数を取る必要がありますが、難易度は資格によってまちまちです。試験の前に必須で受講する「講習」や「自宅宅習」をきとんとやっていれば、それほど難しくないものが多いと言えますが、難易度の高い資格だと、やはりかなりの準備が必要であったり、実技試験に向けた相当の訓練が必要です。
講習だけや自宅学習だけの資格については、とにかく参加する、あるいは所定の課題を提出さえすれば、問題なく資格は取得できるでしょう。
費用
いずれの資格もそれなりに費用はかかります。理由は、試験単独の型式が少なく、講習や教材による自宅学習がセットになっているケースが多いため。中にはテキストの他に実技のための「コーヒー器具」がセットで教材となっているものもあります。多くの資格では、それぞれの組織団体が認可する講習や教材が指定されている場合が多くなっています。
「コーヒースペシャリスト」「コーヒーソムリエ」などは試験に合格さえできれば取得できる制度です。そのため、勉強は独学でも構わないため、こうした制度の下で挑戦できる資格は、比較的安価に取得が可能と言えます。
国際的に通用するか
紹介した22の資格の中では、「Qグレーダー」と「CSP(コーヒースキルズプログラム)」は国際的に通用する資格と言えます。
「Qグレーダー」の資格者はコーヒー豆の格付けを評価することができます。このため、評価の基準が世界的に統一されているライセンスとなっています。資格を取るための特別な要件はありませんが、基本的にはコーヒーに関係する職業に就いているプロ向けの資格と言え、取得のためには知識や技能はもちろん費用も多額に必要で、取得後も3年毎に更新試験をパスする必要があります。
「CSP(コーヒースキルズプログラム)」は各国のスペシャリティコーヒー協会(SCA)が実施している世界統一的な資格制度です。日本では2018年から始まったばかりの新しい制度ですが、世界30カ国を超える国で実施されています。
CSPは大学のようにコーヒーに関する様々な分野に応じて単位(ポイント)を取得していくプログラムで、一定以上の単位(ポイント)を取得すればディプロマの「学位」が与えられます。
おすすめのコーヒーの資格は
趣味でコーヒを楽しんでいる方を対象に、その延長線でもっと深くコーヒーのことを知りたいと考えている方にピッタリの資格をご紹介したいと思います。
ちょっぴり知識をつけ手軽に資格を取得したい(初級)
「コーヒーインストラクター3級」がおすすめです。
コーヒーに関係する組織団体としては権威のある「全日本コーヒー商工組合連合会」が認定する資格です。2時間程度の講習を受講するだけで取得でき、費用も他の資格と比べて「ダントツ」にリーズナブルです。
講習は連合会に所属する企業がそれぞれ独自に実施する講習会やセミナーで受講することになります。各企業によって開催状況が異なり、受講費用も変わります。全国的にはあまり多くの企業が実施している訳ではありませんが、割と頻繁に開催されており、最近ではオンラインでの受講も可能なので全国どこからでも受講でき、手軽に取得が可能となっています。
受講すると、全日本コーヒー商工組合連合会から「認定証」が与えられます。
リーズナブルにしっかりと知識と技術を学びたい(中級)
「コーヒーインストラクター2級」「コーヒーマイスター」がおすすめです。
カフェで働いていたり、「エスプレッソ」に高い関心がある場合には、
「JBAバリスタライセンスレベル1」もおすすめです。
これらの資格はいずれも受験のための特別の要件は必要ないため、出来るなら「コーヒーインストラクター3級」はスキップして、最初から中級クラスの資格を狙うのがよろしいかと思います。
いずれの資格もコーヒーに関する知識や技術を「体系的」に「網羅的」に学ぶことができます。さらに一つ一つの項目を深堀りしたければ、その先の「コーヒーインストラクター1級」や「アドバンスドコーヒーマイスター」へステップアップすることが出来るのもメリットです。
恐らく多くの方が「もっと深く知りたい!」と思うようになると思います。
ただ、この資格だけでも、もちろん十分コーヒーに関しては学ぶことができます。取得にかかる費用は他の資格に比べれば、まだ比較的「リーズナブル」な範囲ですし、講習や試験も短期間で終わるので、時間がなく忙しい方でも割と取得しやすいと思います。バリスタライセンスは少々費用は高めかもしれません。
「コーヒーインストラクター2級」に合格すると、認定証、認定カード、認定ブローチがもらえます。また「コーヒーマイスター」は、認定証、認定ブローチ、「JBAバリスタライセンスレベル1」は、認定証、ライセンスカード、バッジがもらえます。
コーヒーのプロ並みに学びたい(上級)
「コーヒーインストラクター1級」「アドバンスドコーヒーマイスター」がおすすめです。
この2つの資格はそれぞれ、一つ下位の資格を持っていないと受験することができないため、まずは「中級」で紹介した「コーヒーインストラクター2級」「コーヒーマイスター」の資格を取得することが必要です。
取得にかかる費用も高額になってくるので、チャレンジしたいと思っても、二の足を踏んでしまう場合もあるかもしれません。ただ、他の資格と比較してみると分かりますが、資格の権威や習得レベルを考えれば、相対的に決して高額という訳ではありません。
なるべくお金をかけずにどちらか一つという場合には、「コーヒーインストラクター1級」の方が安価で、取得後は更新費用も一切かからないので経済的と言えるでしょう。
カフェ経営について学びたい
「カフェオーナー経営士」がおすすめです。
カフェやその他のコーヒー専門店、コーヒー豆の通販などに関心があれば、こうした経営に関する知識にもきっと関心がある方も多いと思います。資格によっては、こうした内容を含むものもありますが、コーヒー店等の経営に特化した資格としては、本資格が向いていると思います。
教材の購入や講習が義務付けられていないので、独学でも試験にパスすれば資格が取得できます。しかし、出題範囲が決められておらず、ネット等でも得られる情報が少ないので、効率的に勉強するならば、SARA「カフェオーナー通信教育講座」を利用して学習することもおすすめと言えます。
自分のコーヒーの知識を試したい
「コーヒープロフェッショナル」「コーヒーソムリエ」がおすすめです。
特に自宅教材などによる学習が必要なく、試験(自宅)にさえ合格できれば取得できます。お手軽に自分のコーヒーの知識を試してみたい方にはおすすめと言えます。
もちろんこの2つに特化した通信講座も用意されているので、利用することも可能です。あまり「資格」の名称にこだわらず、とにかくコーヒーの知識と技術をしっかり学びたいという方には、この通信講座を受講して試験に臨み、資格を取得することも良いと思います。
最後に
コーヒーを趣味として楽しんでいる方が、より深い知識や技術を習得したいと思う方向けにピッタリのコーヒーの資格をご紹介しました。
私も「コーヒーインスタラクター2級」と「コーヒーマイスター」を取得しましたが、本当にコーヒーのことをよく知ることができて、今までよりも格段にコーヒーライフを楽しむことができています。
今後、さらに上位のコーヒー資格の取得を目指しているところですので、これをご覧の皆さんの中でも関心のある方は、是非、一緒にがんばっていきましょう。