新型コロナウイルスの蔓延により、業績で苦しむ企業も多い状況です。このままの業績が続けば、正社員でも安泰な身分が保証されるとは限りません。
収入が減ったり、会社が「もしも」という時、アルバイトで補完したり急場をしのぐ方法はあるかもしれませんが、自分の力で収入を得る手段として「起業」を選択することに大きな注目が集まっています。
働き方改革で「副業」を認める会社も増え、「起業して自分の力で稼ぐ」ことを真剣に考える人も増えています。
私自身、最近起業にスゴく関心があり、色々調べて感じることは、 コロナ禍だからこそ起業しやすい環境が整ったということです。その理由とともに、コロナ禍での起業のあり方のポイントをご紹介したいと思います。
目次
コロナ禍でこそ起業すべき5つの理由
次の5つの要因は、間違いなく起業しやすい環境を推し進めています。
社会構造の変化により、全く新たな ニーズが生み出された
アフターコロナなどと呼ばれる通り、社会構造は大きく変化しました。歴史上の社会構造の転換点はいくつかありますが、今回のコロナ禍は、これに匹敵するくらい大きな歴史上の転換点だと言えます。
社会変化 | 時代 | 変化の内容 |
---|---|---|
農耕革命 | 紀元前8000年 | 移動する狩猟社会から農作物を栽培し定住する社会へと変化 |
第1次産業革命 | 18世紀半ば〜19世紀半ば | 石炭を用いた軽工業の機械化が進み、商品の大量生産・製造コストが下がり世界が発展 |
第2次産業革命 | 19世紀後半 | 鉄鋼・機械・造船・重化学工業の技術革新が進み世界が大きく発展 |
情報革命 | 20世紀後半〜21世紀前半 | インターネットを通し、世界中の情報をその場で低コストで入手できるようになり社会が大きく発展 |
コロナ禍 | 2020年〜 | 予防・衛生意識を最優先に、働き方や日常の生活行動が大きく変化(在宅、ストック意識、節約志向、おうち時間)、ITの重要性が全世代に浸透 |
未憎悪の世界的災難ではありますが、こうした歴史的な大変化に一生のうちで出くわすことはそうそうないこと。見方を変えれば、変化に対応すべく多くのニーズ、ビジネスチャンスが一気に巡ってきたタイミングと言えます。
リモート手法が定着した
オフィスに出勤しないリモートワークや対面での会議をオンラインでおこなうことが日常化しています。仕事がどこでもできるという考えが一般化し、顧客などからの信用面でも、事務所の立地や実態がさほど問題にならないケースも増えています。
在宅勤務の普及で通勤時間は減少し、そうした方にとっては自由に使える時間は確実に増加しました。また、ある程度自分で時間をコントールできるようになり、副業しやすい環境が広がったと言えます。
副業が認知された
2017年に閣議決定された「働き方改革実行計画」により、テレワークや副業・兼業などの柔軟な働き方の実現が目標になりました。当時はまだ一般的に副業を禁止する企業がほとんどでしたが、2019年末からの世界的なコロナの蔓延を経て、2020年9月、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定され、副業・兼業についての記述が改訂されました。
第14章 副業・兼業
厚生労働省 モデル就業規則
(副業・兼業)
68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
これまで有名無実であった働き方改革は、副業の面でも徐々に認める企業が増え、世間に認知されるようになりました。
デジタル活用が加速した
企業などのリモートワーク実現には、紙ベースの書類処理を遠隔で進めていく必要があります。そのためには、どうしても「デジタル化」の推進が必要です。この点で、当初は仕方なくデジタル化を進めていた企業の中でも、実際導入してみて大きな効果を実感したという声を多く聞きます。
デジタル化は会社だけでなく、一般の生活や、世代を超えても広く浸透することになりました。起業しやすい分野といえば、やはりネットビジネスに代表されるデジタル分野が強く、デジタル化が世間でどんどん一般的するにつれ、起業環境も一層やりやすく変わってきています。
非対面のコミュニケーションが一般化した
ビジネスでは、やはり人とのつながりやコミュニケーションが重要な要素です。社内の営業部門などにおいても、「出来る人」は人づきあいに長けていたり、コミュニケーション能力が高い場合が多かったように思います。
しかしコロナ禍により直接対面で話す機会が減少し、メールだけで物事が進むケースも実に多くなっています。むしろ面倒なく淡々と進められる非対面の方が好まれるケースも多くなったとさえ言えます。コミュニケーションが多少苦手な方でも、ビジネスでは以前ほど重要な要素とはならない環境に変わってきていると言えます。
コロナ禍こそ起業のまとめ
以上に述べた5つのポイントを見れば、このコロナ禍が起業にとってプラスの環境を作り出しているという事がお分かり頂けると思います。
コロナ禍での起業パターン
では、どういうパターンで起業を始めるのが良いのでしょうか?
副業としての起業
いきなり会社を辞めて起業というケースは多くないでしょう。万が一、事業が上手くいかずに前職へ復帰しようにも、このコロナ禍では業界によっては経営状況は深刻、新たな雇用はかなり厳しい状況です。
本業は確保しつつ、副業として起業するのが望ましいパターン。もちろんビジネスの内容や程度によりますが、スモールスタートから始めてリスクを可能な限り回避した副業から入るパターンが理想でしょう。
最初から本格的な起業
もともと、「いつかは起業や独立」を考えていて、すでに入念に準備をおこなっている場合がほとんどでしょう。
コロナ禍で「それどころではなくなった」というケースもあるでしょうが、逆に、コロナ禍だからこそ「決心がついた」「時期を早めた」という声も聞かれます。つまり、会社業績の低迷による将来への不安や、会社からの早期退職の呼びかけがあるなど、起業を後押しするきっかけが出来たという場合です。
在宅での起業
リモートワークが利用できる環境で会社にお勤めの方なら、在宅でできる起業を選ばれるのが最もスタートしすい起業パターンでしょう。
ただし出来る仕事は限られ、ネットを使ったビジネスやライター系が中心でしょう。PC操作スキルは間違いなく必須要素です。
コロナ禍でも有望な起業分野
どんな分野がコロナ禍での起業に向くのでしょうか?
飲食業のテイクアウト専門店
リアル店舗型
コロナ禍で大きな打撃を受けている業界の一つが飲食店。今はまだ厳しい状況が続きますが、いつまでもこの状態が続くわけではありません。影響を受けているからこそ、色々な試みが試せる分野と言えます。
飲食業は起業分野としては人気が高い反面、廃業する割合も高い業界です。しかし、現在の状況で多くのライバルが淘汰されている分、今後のリバウンド需要に上手く乗れば、成功の確率も高まるでしょう。
中でもテイクアウトに注力して売上を伸ばしている飲食店が結構あります。
在宅で過ごす人が増えたこともあり、テイクアウトやデリバリーは、アフターコロナとして定着していく様式変化の一つです。
デリバリーであれば立地面でもコストを大幅に抑えることも可能で、家賃固定費が少ない場所を選べば、少ない売り上げでも利益をあげるチャンスは大いにあるでしょう。
移動販売型(キッチンカー)
お店の中での密を避けつつ、身近な場所で手軽に美味しいフードやドリンクを購入できるスタイル。これまでは、オフィス近くでのランチ需要やイベントでの出店が中心でしたが、コロナ禍により、日常での色々なシチュエーションが期待できるようになりました。
実際のところ、移動販売車の売り上げ量は、コロナ禍前後で大きな変化はないと言われます。つまり、臨機応変に対応ができる形態のため、「コロナ禍だから」と断念する要素が少なく、いくらでも柔軟に対応が可能な強みがあります。
事業規模からしてもお店をオープンするよりはずっと少ない資金で開業できるため、その点でも事業のしやすさとリスク回避の面で始めやすい分野と言えます。
ウェブデザイナー・プログラマー
ITやAIの進展、デジタル社会、オンラインECの一般化と、システムの開発やサイト設計などのデザイナー・プログラマーの需要は高まっています。こうした知識・技術は専門知識がある程度必要ですから、そうした関連の企業にお勤めの方なら、直ぐにでも起業は可能かもしれません。
人との接触が少なく、個人で仕事が始められ、事務所や経費もほとんど必要がない等、コロナ禍における起業としては最も適する分野の一つと言えます。
専門性が高いため、他の関係が小さい分野からの起業はハードルが高いかもしれませんが、趣味でアプリ開発をしたり自分のインターネットサイトを構築している方は割に多いと思います。また、ホームページデザイン等は、一定のデザインツールや限られたプログラムスキルでも対応可能な場合もあり、副業を始めるまでの準備期間を見越し、初心者をターゲットとして挑戦していくことはある程度可能でしょう。
簡易の代行業
生活水準の向上、価値観の変化、作業の効率化志向などによって、面倒なことは専門の業者にアウトソーシングしたいと考える個人や企業が増えています。こうしたもともとある代行ニーズに加え、コロナ禍による環境変化で増えている代行ニーズがあります。
リモートワークや巣ごもりによって家に居る時間が長くなり、家事全般や定期的に必要な生活上の作業代行が増えています。掃除、洗濯、買い物、食事の準備といった家事の内容から、ペットの世話、庭の手入れ、粗大ごみの整理、片付け・収納など、生活・暮らしに必要な作業代行ニーズが高まっています。
商品デリバリーは「ウーバーイーツ」でもお馴染みの通り、飲食店のテイクアウトはもちろん、スーパーや一般店舗の宅配、クリーニングなど、これまで宅配サービスを実施していなかったお店の参加が増え、やはりデリバリーニーズが高まっています。
シニア夫婦、一人暮らしのお年寄り、シニアの居る家族においては、コロナ以前から家事代行やデリバリー需要は高いところもありましたが、よりこうしたニーズが高まっています。
また、企業のビジネスマンなどが海外出張しづらい状況のため、現地に住む日本人や日本語を話す現地の方が、必要な情報を代行で収集するビジネスも増加しています。海外に住む知人などがいる方は自身がエージェントとなってできる内容もあるのではないでしょうか?
フリーライター
情報アクセスの中心がネットである今、そのための情報発信記事のライター業は多くの需要があります。
記事のライティング依頼などは多くのスキルマーケットで募集があり、手軽に参加が可能です。中には物販サイト、例えばメルカリなどの商品として、こうしたクリエイティブな記事作成代行なども多く見られるようになり、工夫次第で機会は無限にあると言っても良いでしょう。
収益サイトの運営
もともと何らかを販売する事業を目指しているような場合には、インターネットでの通販サイトへシフトすることが可能でしょう。店舗や従業員人件費などの経費を節約できる分、通販サイトの構築は必要になります。
アフィリエイトは今やネットで収益を得る一般的な手法です。クリック型の広告やASPプロバイダーから提供される広告案件の販売など、いくつかの方法があります。ただし、最近は分野によっては飽和状態であり、人気のある高報酬分野での収益はハードルが高くなっています。
動画サイトでの収益はユーチューブを筆頭にかなり浸透しています。子供たちのなりたい人気職業にまで発展していますが、こちらもかなり飽和状態に近い状況と言えます。
サイトM&Aは収益サイトの売買であり、売主側としては、こうした収益サイトを構築した上で売りに出し利益をあげます。一方、買主側として、自分で収益サイトを一から構築する手間を省け、購入したサイトを基にテコ入れを図り、その後収益をあげていくものです。
コロナ禍での起業のポイント
コロナ禍の起業ではどのような点に留意すればよいのでしょうか?
臨機応変に対応できる業態やそのための準備
コロナ禍がいつまで続くのか、次々に発生する変異ウィルスなど、今後の情勢がどのように変化するか見通せないところがあります。先を予測することはビジネスの鉄則ですが、今回のコロナのように、通常では予期せぬ社会的変化が今後起きないとも限りません。社会の変化に合わせ、臨機応変に対応できる点を考え準備することが重要です。
まず重要なのは、固定費や経費を極力抑える事。資金的な面で不測の事態にも備えられる余裕を持つことと、身軽であることにより、社会の変化に敏感にすばやく反応できる体制としておくことが重要です。
人との接触が少ない仕組み
アフターコロナでの新たな行動様式の変化の一つ。例えコロナ禍であっても大きな影響を受けない、出来れば人との接触が少ない事業や仕組みを取り入れたビジネスが理想です。急な感染拡大措置が行われても大丈夫な事業であれば、その後経済活動が戻った後でも問題なく取り組むことができるでしょう。
一人で始める・初期費用を極力抑える
少額資金から始めることに加え、固定費・経費が当面かからないように考えます。
始めから人手を頼りにする雇用や外注は慎重に判断しましょう。こうした雇用や外注は、契約をもとに進めますので、予定通りの売上がなかったからと言って、そう簡単に契約解除することは困難です。少なくとも開業直後は避けるのが無難。そのための準備を少人数でおこなうのは大変ですが、事業が軌道に乗るまでは、極力お金をセーブしましょう。
副業から始める
コロナ禍で会社をやめてしまうと、事業が思うようにいかなくなった場合に転職が難しくなってしまう可能性があります。いきなり収入がなくなってしまう事態は絶対に避けたいところ、副業として起業をスタートして収益の見通しを立て、その後本格的に新事業へシフトすることで失敗した際のリスクを下げることが望ましい判断です。
さいごに
コロナ禍で大変な状態に追い込まれた業界もありますが、その反対に収益を伸ばしている事業もあります。
昔から「ピンチはチャンス」と言われますが、冒頭にご紹介の通り、このコロナ禍は捉え方によっては、極めて大きなチャンスと捉えることができます。新たなニーズは必ず存在しており、それをいかに見つけてビジネスにつなげるかが問われています。
起業のチャンスはコロナ禍の今でこそ大いにあるのは間違いないこと。アフターコロナの行動様式をよく念頭におき、できるだけリスクを下げて起業できるように知恵を絞って考えていければと思います。
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